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競輪の戦力外通告「代謝制度」とは?2025年の勝負駆け、再チャレンジ試験制度まで徹底解説

競輪は実力主義の世界であり、常に高いパフォーマンスが求められます。
結果を残せない選手は、レースに出場できなくなる可能性があり、最悪の場合は強制引退となります。
その背景にあるのが、競輪の「代謝制度」です。

代謝制度とは、競輪選手の登録消除制度のことで、成績不振の選手に引退を促すための制度です。
本記事では、競輪の代謝制度について、その仕組みや2025年に対象となりそうな選手、さらに勝負駆けや再チャレンジ試験制度などを詳しく解説します。

競輪界に存在する厳しい制度「代謝制度」とは?まずはその仕組みを解説

代謝制度とはプロ野球でいう戦力外通告のようなものですが、戦力外通告と異なり、代謝制度は強制的な引退を伴います
この制度は、競輪界全体のレベルを維持し、より質の高いレースを提供するために設けられています。
具体的には、以下の選手が代謝の対象となります。

男子選手に関する代謝制度のルール

A3級の選手が対象となり、前期(1月~6月)と後期(7月~12月)のそれぞれで、競走得点70点未満となった場合、または直近3期における競走得点の平均が70点未満となった場合、登録消除となります。
各期でこの条件に該当する下位30名が代謝の対象となります。

ガールズ選手に関する代謝制度のルール

前期と後期のそれぞれで、競走得点47点未満となった場合、または直近3期における競走得点の平均が47点未満となった場合、登録消除となります。
各期でこの条件に該当する下位3名が代謝の対象となります。
競走得点とは、レースの着順に応じて与えられる点数を、出走回数で割ったものです。

競輪選手にとって代謝制度は常に意識せざるを得ない厳しい現実だな。

競走得点とは着順ごとに与えられる点数

代謝の基準となる「競走得点」を簡単にご説明します。
競走得点とは着順ごとに選手に与えられる点数です。
着が1つ上がるごとに2点増、着が1つ下がるごとに2点減した得点がそれぞれ与えられる決まりとなっています。

レースごとに与えられる点数は決まっていますが、たとえば5着に90点が与えられるレースであれば、4着は92点、3着は94点と一つでも上の着順になるほど多くの点数が与えられ、反対に6着であれば88点、7着だと86点のように、着順が下がると2点ずつ減らした点数が与えられます。

代謝制度は年2回、期末間近に見られる「勝負駆け」も予想の醍醐味!

代謝(登録削除)は年2回、6月末(前期)と12月末(後期)に行われます
期末間近の5月~6月や11月~12月には、ボーダー上の選手たちは引退回避を賭けた「勝負駆け」を繰り返すこととなります。

競走得点次第で「何着以上で引退回避」などの条件が発生するため、対象の選手は1レース1レースがまさに命がけのレースになります。
勝負駆けはさまざまなドラマを生むことで有名です。
これまでほとんど活躍を見せていなかった選手がいきなり上位着を取ったり、反対に勝負駆けであってもやはり力の限界で活躍できずそのまま引退していったり…。
少し悲しいものではありますが、これもまた競輪の魅力の一つですね。

勝負駆けは思いがけない大穴を生むことがある

さきほどお話ししましたが、選手を続けたいというモチベーションのある選手は、死に物狂いで勝負駆けに挑みます。
そのため、普段は大きな着ばかりの選手がいきなり好走することもしばしば。
また、同地区の選手がいれば、勝負駆けの選手をアシストすることで少しでも上位の着を取らせるという作戦を取ることもあります。

実際に、期末間近のA級戦では、勝負駆けの選手が思いがけない大穴を生むシーンが度々見られます。
勝負駆けは予想にも重要なファクターの一つですので、期末が近い際は必ず目を通しておきたい項目です。

ガールズ競輪では、強制引退直前の猪子真実元選手が144万車券を演出したレースもあったくらいだ。
これを聞くと簡単には見捨てることのできない情報だと思わないか!?

2024年には代謝制度の救済措置である「再チャレンジ試験制度」が導入された

厳しい代謝制度が存在する一方で、競輪界では、不本意な状況に陥った選手に再びチャンスを与えるための制度も設けられています。
それが再チャレンジ試験制度です。
この制度は、怪我や病気など、自己の責任とは言えない理由で成績が低迷し、代謝の危機に瀕している選手が、現役を続ける道を開くための重要な仕組みです。

試験の概要と受験資格

再チャレンジ試験制度は、代謝の基準に該当する可能性のある選手に対し、一定のタイムトライアルの基準をクリアすることで、登録消除が取り消される制度です。
2024年に導入され、選手が再びレースで活躍するための機会を提供しています。

この試験を受験するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 「競輪に係る業務の方法に関する規程」第83条第1項第3号の規定に該当し、同規程第134条第1項第3号により選手出場あっせん保留となった者
  • 代謝の対象となった審査期間(3期)の間に発生した競走中等における落車負傷等(自らの失格となった行為による落車負傷等は除く)により、31日以上の治療日数を要すると診断された身体損傷を受けた者
  • 診断された治療日数の属する審査期の出走回数が、当該審査期の登録審査用得点算定最低出走回数に達しない者

これらの条件を満たした選手は、所定の期間内に再チャレンジ試験を受験することができます。

簡単にまとめると、レースに出走している際に自分以外の責任で落車転倒し、31日以上治療が必要な負傷を追い、それが原因で最低出走回数に達しなかった選手が対象ということだな。

試験内容と評価基準

再チャレンジ試験の内容は、タイムトライアルです。
選手は、競輪場で実際に使用される自転車に乗り定められた距離を走行し、そのタイムが基準を満たしているかどうかが評価されます。
具体的な基準タイムは以下の通りです。

  • 【男子選手】1,000mを1分9秒以内
  • 【女子選手】500mを38秒以内

どちらもスタンディングスタートにより計測されます。
タイム計測は2回実施し、そのうち1回でも基準タイムをクリアすることができれば合格となり選手として復帰することができます。

この基準タイムは、プロの競輪選手としての最低限の能力を示すものと考えられます。
ちなみに競輪選手養成所の入学試験の合格基準の1つには、「1,000mを1分10秒以内に走る」という項目もあるため、1分9秒以内で走るというのはプロを続けるにあたって当たり前のタイムであるとも言えます。

自分が原因ではない怪我で引退を余儀なくされるのは選手にとって納得いかないだろうからな。
この制度はなくてはならないものだろう。

【まとめ】2025年も迫る前期期末!代謝制度のボーダー選手はあらためて紹介!

今回は競輪界に存在する「代謝制度」や勝負駆け、再チャレンジ試験制度について紹介しました!
代謝制度は成績不振の選手に引退を迫る厳しいルールであり、その存在は常に選手たちの頭上にあります。
しかし、この制度があるからこそ、選手たちは常に高いレベルで競い合い、私たちに質の高いレースを提供してくれると言えるでしょう。

一方で、2024年に導入された「再チャレンジ試験制度」は、不慮の事故に見舞われた選手に再びチャンスを与える温情的な措置です。

競輪予想においても代謝制度や勝負駆けは非常に重要で、期末の選手の動向や選手の意気込みなどを考慮することで、より深い視点からレースを楽しむことができるでしょう。

チャリ吉
チャリ吉
仕事終わりに遊べるミッドナイト競輪があることを知ったのがきっかけで競輪にドップリのめり込んだギャンブル好き。
他の公営競技と違い、自力が最重視される戦いが良い。
普段は6車、7車立てで勝負しているため、休みの日に9車立ての出走表を見るとビビる。
グレードレースの決勝で帯を取るのが夢。

掲載の内容はライター独自の見解であり、その正確性・再現性を保証するものではありません。